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精神に病を持ちながら 成長する子供達 ーフランス編ー

6月14日放送  france3 (フランス・トロワ)
ーLE MIEUX C'EST D'EN PARLERー (話してみると いいよ)
Marcel Rufo マルセル・ルフォー Pédopsychiatre(児童精神科医)
 
人格障害精神分裂症・重篤な神経症ボーダー・ライン(神経症と精神病の間をさまよう)
いくつかの精神病は 青春期に発症する
時には 幼少の頃からも・・・
これらの障害は 発達・社会生活・就学を混乱させる為
精神科の治療が必要になります
ただ人間形成がなされるこの成長期において その診断はとても難しい

奇妙で心配な行動を前に(幻覚恐怖の発作暴力錯乱)親達はしばしば孤独を感じる事に

普段 テレビではあまり取り上げられないテーマですが 
精神に病を抱える子供達が 
どのように成長しているのかを理解し 助ける為に
2人のゲストを迎えます
              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

ゲスト・・・二コラ14歳 母 ジョジアンヌ34歳 父 クリストフ43歳

彼には幻覚が有り 声が聞こえる
蜘蛛が見えたり 部屋のポスターのキャラクターが抜け出して 
彼に 「悪くなれ」と言う

二コラ 「ある時はガスマスクをした人 ある時は透けて見える人が見えるんだ」

母親 「この間 <カメラを呑み込んだらどうかな・・・ 
    ボクがみているものを 皆に見せてあげられるかも> っていうんです」

被害妄想し 現実と想像の世界の区別が付かなくなる
6歳の頃より ガイダンス・センターへ 週に一度通うようになり
その後 病院の児童精神科へ通院する事になります
何度か入院しましたが 1年前より状態が悪化
最近発作があった時 緊急で運ばれた病院のインターンが初めて
「精神分裂症」という病名を口にします

それまでの精神科医達は 彼に病名を付けたがらなかった
何故なら 明確に病名を付けるには 彼は若過ぎたから
でも母親は その病気と戦う為には 明確な病名が必要だと言う

現在は 入院治療中 
週末には 家に帰って来ます
そんな時 初めは落ち着いているようでも
ちょっとした言葉に興奮したり 部屋に閉じこもって発作を起こすなど
落ち着かせる事が 非常に難しい
父親は 今はまだ自分がコントロールする事が出来るが
これから18・19・20歳と大人になっていく彼の 将来を不安に思う

二コラは あまり友達がいない事や
他の子と同じような生活が出来ない事に 嫌気がさしています
来年進学を控えているのに 重い薬物治療が集中力を妨げます

マルセル「精神医学界は 長い間 
     子供における聴覚・視覚の幻覚などの研究に怠慢でしたが
     最近研究され始まっています 
     脳が勝手に働き 本人にはコントロールできない事があるのです」
    「二コラ その妙な感じはいつから始まったの?」

二コラ 「3~4歳の時 あんまり良く眠れなかった夜に
     <二コラ・・二コラ・・・>って呼ぶ声か聞こえるんだ
     ・・・で 起きてみると 家の中は暗いし
     家族は皆寝ていたので 理解出来なかった」

マルセル「現在 病院の精神科 青少年部門の施設へ入院しているんだね
     フランスの何処にでも在るという物ではないんだけど・・・
     君はそれを納得しているかい?
     自分には病院が必要だと理解してる?」

二コラ  「少し良くなって来ている・・・
     辛い時は 僕の信頼している人がいて 彼女に何でも話すんだ
     よく理解してもらえないことも有るけど・・・それでも全て話す」

マルセル 「お母さん 彼がべべ(赤ちゃん)の時からの発達が 
      どんな様子だったか話して頂けますか?」

ジョジアンヌ「とにかく よく泣きました それから睡眠障害
      そして よく食べませんでした
      食べるものは皆ミキサーにかけて 柔らかくしなければいけなかったんです
      3歳頃まで続きました」
マルセル 「ほー その特徴は重要だ
      普通べべは 自分と他の物との違いを区別する為に
      固いものを噛む事を好むんです 噛んで確認する」

二コラは 会話は3歳 歩行は16月 オムツは2歳半で取れるというように
通常な発達をしています
身体的能力は有るのに・・・

二コラが5歳になり学校へ行く年齢になると その困難が顕著に
他の子と一緒にお絵描きしたがらなかったし おとなしくしていられず
本を読むのも 2時間も持たないという感じだった

日中通いの精神科部門の通所施設を 勧められます
その後 暴力的発作が酷くなり その施設では難しくなり
24時間体制の 児童精神科施設へ移ります

マルセル「日中だけよりも まず24時間体制で
     専門家達によく観察してもらう方が 良いと思います
     その後 本人に適した将来への方向付けをしてもらえますから」

ここでプロセスの説明として まず地域に在る児童心理医療所(CMP)へ出向き
そこで専門施設への紹介をしてもらいます
専門施設とは 大抵 病院から独立した一戸建てで
そこには児童精神科医の下に 看護士・心理士・言語矯正士・運動機能発達指導員・
専門教育を受けた指導員など 様々な専門家が揃います
そして小数の子供を 何人もの専門家が観察します

マルセルが見たところ 二コラは頭も良いしユーモアや愛情も持っている
禁止されているタバコを吸ってみたりと 青春期の反抗心も見られ
また「恐怖感を追い払わなければならない」と 自分から思うようになってるところなど 
向上がみられます
特に良かったと思う点は
彼はずっと同じ精神科医(6歳の時から)の診察を受けている事
これから周りに居る人達との連携により きっと良い方向へ向かうと思います
             
            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゲスト・・・ ジュスティヌ 18歳   母親 イザベル 46歳 

ジュスティヌの父親は 重いうつ状態で
彼女が4歳の時に 自殺

彼女は8歳の時に 食欲過多の発作が始まります
それから TOC(強迫性障害)
そのストレスの度合いによりますが 多かれ少なかれ
計算(数える)・確認作業に執着します

さらに12歳より カナビス・アルコールの摂取
他傷・自傷 そして数々の自殺未遂
最近のものは スクーターに乗り 目を閉じてトラックの前へ飛び込んだこと
緊張・興奮が高まり上り詰めると それを排出しなければ治まらなくなり
それで自傷行為に出る
それだけでも 何か点を上げたような感じになるのだそう

16歳の時に初めて 児童精神科へ入院した
診断は 両極性人格障害うつ病強迫性障害など
そして彼女は今年 2度目の入院をしました
新しい診断が下されます
注意欠陥・多動障害
現在 薬物療法の下 精神科に通い心理療法を受けています

ジュスティヌは「自分は狂っているのではないただ、病気に苦しんでいるだけ」って言いたい

現在彼女は 独りになれるよう
家の庭の奥にキャラバンを置いて ひとりで暮らしています

マルセル 「ルポルタージュを見て感じるのは あなたの非情なる苦悩の根源は
     「父親の死」にあるのではないかということ・・・
      不安定で脆弱な心の状態は その時から続いています
     「障害に最初に気づいたのは、いつ?」

ジュスティヌ「5歳 強迫性障害 もし自分が・・・しなかったら・・・が死ぬって思う」

マルセル 「ああ 4歳の時にお父さんが亡くなった 
      その少し後<死の観念>が <死の観念を避ける>に置き換わったんだね
      通常子供は 5~6歳に<死の観念>をもちます」
ジュスティヌ「妹が死んでしまうのではないかと 本当に心配で怖かった」

それから 数えること(計算)が始まりました

マルセル 「まず最初に 自分を消費することに執拗になる
      それを代償にする事で 何も悪い事が起きないって思うんだね
      数えると落ち着く・・・でも同時に拘束されたようでもある・・・でしょう?
      自分の世界に閉じこもる為に何かに執りつかれる・・・
      強迫観念がとても強かったんだね」

ジュスティヌ「ええ 眠りにつくまでに2時間はかかったわ」

マルセル 「大抵 学校での様子で異常に気が付くのだけれど・・・
      お母さん 学校ではどうだったのですか?」
イザベル 「長い間 そのTOCを人前では隠していたんです
      父親が亡くなった後 早い時期から心理士には通っていたんですが
      成果は得られませんでした」
マルセル 「彼女は心のメカニズムを TOCに変化させていたんだね
      そして それを隠していた 
      だから心理士には どうにも出来なかった」
イザベル 「それに 学校では良くやってました
      必要な集中力も有ったし 問題は無かったんです
      でも段々集中することが出来なくなりまったようです
      14~15歳頃 打ち明けてくれるようになり 専門家へ受診しました」
ジュスティヌ「ある精神科医に <父親と同じ病気だろう きっと自殺する事になる>
      というような事を言われ それでなくても自殺未遂してるのに・・・行くのをやめた」
マルセル  「お父さんの脆さと 君のとは違う
     みんな同じ脆弱さを もってはいないよ」
      「それで? 今行ってる精神科の専門施設では どうだった?」
ジュスティヌ 「そうね 窓ガラスを4~5枚割ったわ」

彼女は 12歳の頃より始めたカナビスやアルコールの摂取をやめる為に
その専門のセラピーも受けています

マルセル  「いろいろな精神科の薬を飲んでいるし カナビスはそれに相反する」
      「彼女にカナビスなんて・・・悲惨だよ」

彼女の病名は 注意欠陥・多動障害・うつ病・強迫性障害・摂食障害・・・と沢山あります

母親は 「それでも病気なんだって はっきりしただけでも良かった」と言う
入院(その後は通院)以来 ジュスティヌの状態は少し良くなって来ています

まず彼女自身が 自分の病気の治療に納得し 
前向きに治療を続ける事が 大切なのだそう
母親とも 前よりうまく行っている様子
また学校の勉強も 通信教育により再開しました
試験に通って 果たしたい夢があるらしい

マルセルの助言

1. 精神科への受診を躊躇しない
2. 早すぎる診断により将来を固定しない 
   待つ事は出来るのだから 観察しながらよく考える
3. 入院はOK でも ひとり閉じ込める事には要注意 
   特別な策が必要な場合にのみ
4. 彼らの自立している部分を伸ばしてあげる
   適応した仕事を与える事によって 成功している例が多くある

この後マルセルは 何人かの電話質問を受けますが 特に印象に残った彼の言葉
「誰だって精神的に弱い部分を持っています
 多くの人達が 病気になる可能性を持っているんです
 心理療法は そうならないよう人々の心を守っていく為に必要なのです
 また現在病気の人達も 
 その心の脆さと共に生きていく事が出来るということを 皆に解ってもらいたい」


自分が精神分裂病であり 1児の父親である人からの質問
「子供に 自分の病気を知らせるべきですか?」
マルセル
「言わない方が良いでしょう まだお子さんは小さ過ぎます(9歳)
 お父さんの良いところも参考にするし 良くないところもピックアップします
 いくつかの統計によると 20~30%の割合で遺伝的要素があると言われてます
 用心した方がいい 今から気を付けて見てあげた方が良いです
 お父さんの方は子供の病気について気をつけたほうが良いですが
 その逆に 子供の方がお父さんの病気を見守るのはいけません」






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